ついて、
「舌切りすずめ、
お宿はどこだ、
チュウ、チュウ、チュウ。」
と呼びながら、あてもなくたずねて歩きました。野を越えて、山を越えて、また野を越えて、山を越えて、大きなやぶのある所へ出ました。するとやぶの中から、
「舌切りすずめ、
お宿はここよ。
チュウ、チュウ、チュウ。」
という声が聞こえました。おじいさんは喜んで、声のする方へ歩いていきますと、やがてやぶの陰にかわいらしい赤いおうちが見えて、舌を切られたすずめが門をあけて、お迎えに出ていました。
「まあ、おじいさん、よくいらっしゃいました。」
「おお、おお、ぶじでいたかい。あんまりお前がこいしいので、たずねて来ましたよ。」
「まあ、それはそれは、ありがとうございました。さあ、どうぞこちらへ。」
こう言ってすずめはおじいさんの手をとって、うちの中へ案内しました。
すずめはおじいさんの前に手をついて、
「おじいさん、だまってだいじなのりをなめて、申しわけがございませんでした。それをおおこりもなさらずに、ようこそたずねて下さいました。」
と言いますと、おじいさんも、
「何の、わたしがいなかったばかりに、とんだかわいそうなことをしました。でもこうしてまた会われたので、ほんとうにうれしいよ。」
と言いました。
すずめはきょうだいやお友だちのすずめを残らず集めて、おじいさんのすきなものをたくさんごちそうをして、おもしろい歌に合わせて、みんなですずめ踊りを踊って見せました。おじいさんはたいそうよろこんで、うちへ帰るのも忘れていました。そのうちにだんだん暗くなってきたものですから、おじいさんは、
「今日はお陰で一日おもしろかった。日の暮れないうちに、どれ、おいとまとしましょう。」
と言って、立ちかけました。すずめは、
「まあ、こんなむさくるしいところですけれど、今夜はここへとまっていらっしゃいましな。」
と言って、みんなで引きとめました。
「せっかくだが、おばあさんも待っているだろうから、今日は帰ることにしましょう。またたびたび来ますよ。」
「それは残念でございますこと、ではおみやげをさし上げますから、しばらくお待ち下さいまし。」
と言って、すずめは奥からつづらを二つ持ってきました。そして、
「おじいさん、重いつづらに、軽いつづらです。どちらでもよろしい方をお持ち下さい。」
と言いました。
「どうもごちそうになった上、おみやげまでもらってはすまないが、せっかくだからもらって帰りましょう。だがわたしは年をとっているし、道も遠いから、軽い方をもらっていくことにしますよ。」
こう言っておじいさんは、軽いつづらを背負わせてもらって、
「じゃあ、さようなら。また来ますよ。」
「お待ち申しております。どうか気をつけてお帰り下さいまし。」
と言って、すずめは門口までおじいさんを送って出ました。
三
日が暮れてもおじいさんがなかなかもどらないので、おばあさんは、